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翻訳者になりたいんですけど
本エントリ、非常に長文なため、スマホや携帯の方はご遠慮くださいませ(笑)。


こんな私でも時折「(フリーの)翻訳者になりたいんですけど・・・」というご相談を受けることがあります。

「毎日どのくらいの量を訳しますか?」や「使い勝手のいい辞書は何ですか?」のような質問には答えられるものの、最初の質問にはどう答えて良いものやら本当に悩みます。翻訳と一概に言っても、出版翻訳、実務翻訳、映像翻訳では状況も異なるでしょうし、実務翻訳の中にも様々な世界があり、大まかな道筋が各々異なっています。

英語が好きだから、英語を使っていたからという理由だけで他業界から飛び込む場合もあれば、翻訳にごく近いキャリアを積んでいて、それがフリーにそのままつながりそうな場合もあるでしょう。そして、家庭環境も大きな要因の一つでしょう。私の意見などほんの参考だとしても、軽々しく答えられないなぁとその度に思います。

周りを見て専業フリーランスとして生活できるだけの収入を得ている人(年収を聞いているわけではないのであくまで想像)という人は多いかと言えば多いし、少ないかと言えば少ない(どっち?)気がします。統計を取ったわけではないのですけれど男性翻訳者は女性翻訳者よりもずっと少なく、男性の場合、リタイア後の年齢層の方々が多いといった印象です。もちろん若手の翻訳者の男性もいらっしゃいますが、妙齢の女性ほどすぐには行き当たりません。ここ関西では東京よりもその割合がさらにぐっと減るでしょう。やはりそれは妻子を養う上での経済的リスクが大きいことを意味しているのかもしれません。


どんな自営業でも言えることだと思いますし、実際の経営コンサルタントの方のお話を聞いても、自営でつぶれてしまうのは「資金が続かないこと」が最大の理由だそうです。翻訳には商品の仕入れや在庫の確保、店舗の家賃や人件費等々の運転資金はほぼかからないメリットはありますが、それでも入ってくるお金がないという時期があるのは苦しいものです。半年間は赤字、お客が1人も来ない中でも店を開けながら努力を続けるという「根気」、「ハートの強さ」と、それをできる「資金力」とが必要です。最長3年無理なら借金を増やさずさっさと店をたたむのが鉄則という人もいます。

翻訳業も同じことです。当然ながらその根底には最低限の仕事のレベルが必須です。文句のない実力者、あるいは運とコネとを持ち合わせた人でないと、翻訳の世界でも1年は下積みでお小遣い程度の収入しか見込めないことは普通でしょう。また、たまに大きな仕事を手に入れてその月の収入が確保されたとしても、それをおしなべて1年間、また10年間、あるいはそれ以上、そのペースを持続する、あるいは上昇させることが生業としては必要です。時代の趨勢でどんと収入が落ちる年も当然あります。相手が突然倒産することも仕事をくれなくなることもあります。それに自営業は頭は下げてナンボです(只なので私はいくらでも下げます)。ただ、奴隷ではないのでクライエントの言うことは何でも聞けばそれでいいというわけでもなく、その辺の駆け引きや営業力のようなものも要求されます。


私も結婚前は英語関係の仕事をしていたものの、翻訳の仕事にありつくまでは1からのスタートでした。初めて住む大阪の地ではコネどころか友達すらいませんでした。それがどうにかこうにか紆余曲折ありつつここまで続けてこれたことは、当然ながらハートの強さではなく(笑)、資金力であったかもしれません。資金力というのは大袈裟ですが、生活費全面をバックアップしてくれただんなさんがいてくれたおかげです。学費や本代等は勿論自分の財布からは出しましたけれど、とりあえず生活の心配はしなくてすみました。私の遅い遅い自分探し/自分磨き(爆)にお付き合いしてくれたことを今も大きく感謝しています。

「だいぶん、投資したもんな~」

とついこの間、嫌味とも何とも取れる言葉をかけられました。

だからいいよな女って。とある人々からは思われるかもしれません。でもこれは一種のリスクヘッジであり、当然逆も成り立ちます。翻訳者と会社員、これは実にいいマッチングです。たとえば、だんなさんが早期リタイアやリストラを命じられた場合も今度は私がフォローできます。頭さえどうにか動けば引退もリストラも外からは命令されないのが自営の良さです。私が独身の男性翻訳者ならば家事を請け負いつつ、バリバリのキャリアウーマンや看護婦さんなんかを狙います(笑)。育児という部分が我が家には欠落しているので、普通とは異なりますが、仕事も家事もできる方ができるだけやればよい、その時のお互いの人生ステージにおいて持ちつ持たれつというのが我が家のルール(?)です(だんなさんは社畜の割に家事も好き。そのうちhousehasbandになる予感大)。時代も大黒柱が一家を支え、後の人間が家庭を守るというよりも、兼業の支え合いにますます向かっていくでしょう。


そういう意味では、場所を取らず、日本(あるいは世界)どこに転勤しても仕事ができ、時間の融通がきき、それ1本で一家が食べていくにはそれ相応の力が必要だとしても、ある程度までなら収入が見込める翻訳という仕事は、特に女性にとってはお勧めできる商売かもしれません。と私なりの最初の質問の答えにやっとたどりつきます。ざっくばらんに話せる相手なら「いいよ~」とも「やめとけ」と言うのも上述したような理由からです。


一家のワークライフバランス、女性と仕事、人生後半戦の生き方等、書きたいことはまだまだありますが、今日はここまで。長文大変失礼いたしました。



追記:あと、仕事はかなり地味です。カフェオレを飲みながら緑の見える日当たりのいい仕事場で優雅にキーを叩く美しい姿を夢見てはいけません(あ、これは私の願望でした)。調べ物に忙殺され、視力はどんどん落ち、座業特有の腰痛に悩まされ、肩は始終凝り固まり、悩むせいか眉間に変な皺までできました。締め切りに追われるときは、移動の電車や新幹線内にもPCを持ちこみます。地味です、本当。



【2012/11/19 08:37 】 | お仕事・お勉強 | コメント(10) | トラックバック(0) |
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コメント

こんにちは!

「フリーの翻訳者」ほどイメージと実際が異なる職業も少ないかもしれませんね。
「翻訳やってる」と言った後に必ず「違うのよ、そういうのじゃなくてね・・・」と、何か言われる前に先に否定してしまいます(笑)

「人生後半戦の生き方」の記事、楽しみにしてま~す。
【2012/11/19 12:04】| URL | yasuko #-[ 編集] |

★yasuko様

「違うのよ、そういうのじゃなくてね・・・」
→よーく分かります(笑)、私も同じセリフを使います、「そういうの」って何?とも思いますけど。

通訳さんはもう少し華やかそうですね。そちらをほんの一瞬目指していましたが挫折しました・・・。

人生後半戦、最近意識することが多くなりました。同世代のお話をもっと聞きたいなぁ。
【2012/11/19 14:21】| URL | yasuko様 #-[ 編集] |

「翻訳者になるには」を語る翻訳者は多いけれど、同業であってもなかなかピンとこないこともあります(分野や働き方が違うせいで、というのもありますけど)。その点、Kyokoさんの説明は、同業者としてもすごく腑に落ちるし、改めて私もしっかりやっていかなきゃ、という気になりました。「なるには」情報を探している人は、他の人の文章より、ぜひここを読んでほしい(笑)。

私も地に足をつけて、自分の仕事を冷静に見て語れるようになりたいです。その前に、地に足をつけて仕事をしていかなきゃですけど。
【2012/11/19 14:44】| URL | yumi #Di6/6igI[ 編集] |

私もよく「いいわね~、家で仕事できて(ていうかどこにも出掛けられませんけど<心の声、以下同じ)」「技術がある人はいいわね(かなり投資もしましたけど)」「優雅ね~(ていうかその思い込みはどこから?)」などとよく言われます。本当に、その誤解は、いったいどこから来るんでしょうね。この疲れたやつれたおばはんの顔を見て、まだ分からんか。

長く続けたいと思えば、「翻訳者へのなり方」は、近視眼的なものではなく、「なるまでの資金確保」「なってからの続け方」とセットにして考えるべきものなのだと思います。おお、ある意味、人生設計じゃん。
KYOKOさんの記事は、そういったことに、とてもよく答えておられるなあと思いました。
個人的には、色々思うところはありますが、「好きな仕事をして対価を得られる」というのはとても幸せなことと思っています。かといって、それで自活できる訳ではなく、あくまでメインの収入があっての「主婦の副業」だから言える言葉かなという気もしますが。
すいません~、まとめられないので、このまま去ります~。お許しくださ~い。

私も(たぶん)近い世代として、「後半戦」の記事、楽しみにしています(そのうち、ウチでも挑戦してみます<いつになるやら)
【2012/11/19 16:46】| URL | Sayo #RwF7odmQ[ 編集] |

★yumiさま

ブログを拝見するたびに訳書の数が増えていますよー。今更地に足をつけてというのは嫌味に聞こえますわよ(笑)。

翻訳者ってイメージ的に夢を持たれる商売だと思うんです(私も昔はそうでした)。だから現実とのギャップが大きくなってしまう気がします。趣味と商売との線引きをうまくつけていくことが難しかったりしますよね。

ところで、天井からつりさげている観葉植物が素敵すぎます!やってみたいなぁ...。
【2012/11/19 23:04】| URL | yumi様 #-[ 編集] |

★sayo様

私も基本的には、好きなことを仕事にしていることには満足しています。ラッキーだったなぁって。

副業でも何でも私は構わないと思うんですよ。副業だろうがパートだろうが趣味(笑)だろうが、成果物でしか判断されないところがこの仕事の魅力でもあります。「主婦の手仕事だから許してね~」というのが通用しない(sayoさんがそんな仕事をしていないことはブログからよく分かります)のは周知のことだし。

後半戦の生き方、是非書いてくださいっ。私も少しづつまとめてみますね。

ではでは。
【2012/11/19 23:10】| URL | sayo様 #-[ 編集] |

リアル友で2人、翻訳だけで食べている友人がいます。偶然、2人ともアメリカ人男性です。私も翻訳やってた…でも今は子育てで無理。エネルギーも無くなってきた…って言うと、なんか分かるわ~みたいな顔をされます。2人とも心がけているのはジム通いとか体を鍛えておくことらしい。これも私は分かるわ~って顔をする番。「だから女っていいよな」なんて言う奴の顔、見てやりたいですね。世の中ラクしてお金儲け出来る仕事なんてないっちゅーの!
【2012/11/20 02:25】| URL | mg #-[ 編集] |

★mg様

おはようございます。

本当、楽して儲かるなんてこと、犯罪(汗)くらいしかありませんよねぇ。そんなことをしていたら結局はしっぺ返しがくるものですし。

確かに体力作りがだんだんと必須になってきます。真面目にジムに通わなきゃ!

ではまた♪
【2012/11/20 09:03】| URL | mg様 #-[ 編集] |
どの仕事でも同じ?
相談者が現状整理出来ていない、覚悟が決まってない、こんな時は効果的なアドバイは出来ないし、平たく言えば・・・イラっとする(笑)のではないかと思います。

言わばプロに企業秘密を分けてもらうわけです。判らないなりにも、考え抜いて、何だったら自分で行動して、問題点抽出して、それから質問持ってくる、そんな姿勢が大事なのでは。

言語化して伝えられるノウハウは、どんな仕事でもほんの一部。まして翻訳のようにモノが伴わない仕事なら、なおさらだと思います。上手な人の仕事を真似て盗むぐらいの気概でも良いのではないでしょうか。
【2012/11/21 09:03】| URL | りょう #-[ 編集] |

★りょう様

意地悪する気は毛頭なく、駆け出しさんは応援したい気持ちは十分にあるのですけれど・・・

どの商売も同じですね。企業秘密とまでは言いませんけど、なかなか明かせない部分もあります。それは自分で経験を積んで知っていくしかないんですよね。

自営の苦しさと自営の美味しさを日々感じつつ。

りょうさんも社長業頑張ってください!

【2012/11/21 11:01】| URL | りょう様 #-[ 編集] |
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