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「ツナグ」-もう一度あの人に会えたなら
年末年始、慌ただしい中、少し読書もした。布団の中で少々酔っぱらったまま好きな本を読むのは1日の至福のとき。今年も少しずつ本棚カテゴリの中身を増やしていくつもり。



突然死したアイドルに。癌で逝った母に。喧嘩したまま亡くなった親友に。失踪した婚約者に。死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いかもしれない。でも―喪ったものを取り戻し、生きるために会いにいく。―4つの再会が繋いだ、ある真実。新たな一歩を踏み出す連作長編小説。



作者の辻村深月さんの作品は今までに何度か読んだことがある。だが評判の良い「スロウハイツの神様」をはじめどうもピンとこなかった。一言で言うと肌が合わない作家だ。この作品を勧められたときも期待はしていなかった。ホラーやSF系以外で、こういう死者との出会い系な内容にもどうも惹かれない。たとえば、人気作家の伊坂幸太郎氏の「死神の精度」なども評判が高いが苦手な分野。まだ氏の作品の魅力について気がついていないだけかもしれないが。




ある時は恋愛小説風に、ある時はロード・ノベル風に…様々なスタイルで語られる、死神の見た6つの人間模様。


さて、「ツナグ」に話を戻そう。このタイトルからしてちょっと鼻につくなぁ(毒)と思いつつ読み始めたが、「母との再会」の章でダーと涙が出てきた。私の場合、映像では涙もろいのだが小説ではさほどでもない。ちなみにこの本では「友人との再会」の章が秀逸である。

人生半分を超える頃になると、少しずつ人との別れが始まってくる。早世した知人や恩師、父親ももう彼岸に行ってしまった。疎遠になったというのではなく、もう二度と出会うことができない人々。聞いておきたかった言葉、伝えたかった言葉、それらが宙に浮いたままになる。この作品はその琴線に触れたのかもしれない。

これからどんどん人との別れが増えてくる。いや私が先に逝ってしまうのかもしれないが(笑)。ただ、あちらの世界に知り合いが増えてくると、あちらも楽しそうに思えてきて怖さはちょっと減る。今までに飼ってきたペットたち、特にミタとも再開できるだろうし、ノワも待っている(おいおい殺すなよ)。

音楽も美術もそうだけど、自分の環境の変化と共に感じ方も変わっていく。今まで分からなかった小説の奥行きや本当の意味みたいなものが分かってくるような気がする。

たまに泣くのはいいよ。魂の浄化とまでは言わないけど。



【2012/01/10 09:30 】 | 本棚 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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