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夏の日の君に
今年の夏は珍しく甲子園(高校野球)の試合を観戦する機会が多かった。それにはいささかのわけがある。

私が中高生の頃、地元では今のようにサッカーが日の目を浴びておらず、花形は野球部であった。個人的な趣味で言うと、今なら水泳選手の肉体が最も好みである。別にいやらしい意味ではなく(いや少しはいやらしい?笑)、あの逆三角形の鍛え抜かれた上半身と対照的に引きしまった下半身は、まるでサラブレッドのように美しく目を奪われる。世界水泳では随分堪能した。

話を戻そう。野球選手はどっしりとした下半身が必須であろうから、好みではないはずだけれども、やはり憧れであった。私が女子高生の頃である。我が高の花形はやはりチアリーダーだった。社交的な麗しの生徒は大抵チアリーダーにスカウトされて、ミニスカートでボンボンを持って放課後踊っていた。私自身は体育会系部員で、人を応援するよりは自分が応援される方がずっと楽しかろうと思っていたけれど、一方ではチアを羨ましく思う気持ちもあった。とりあえず可愛いのだ、今で言うとまさにAKB。

そんなスポーツウーマンの私も高校1年生、駅で会う他校の男子校生に恋をした。大きなバッグを抱えているので高校名と野球部であることは最初から分かっていた。視線でこちらの想いがばればれであったのか、ほどなくしてお付き合いをすることになった。甲子園の予選が始まると、2塁打以上のヒットを打てば新聞の試合結果に名前が載る。諸事情で実際には応援になかなか行けなかったので、朝刊でそれをチェックするのが楽しみだった。試合の前夜の電話で、

「頑張って打つからね」

という言葉に心がきゅんとしたものだ。

大学受験を控えて、だんだんと二人の距離が開き、高校3年生でお付き合いは終わってしまった。その後、会うこともなく、すらりと背の高い、真っ黒に日焼けした顔の中の澄んだ大きな目と真っ白な歯の彼の姿が記憶に残っている。心の中の思い出だから美しいままだ。

その高校が今年は甲子園に出場した。昔憧れた少年たちは今は息子のようにしか思えない。彼は甲子園に出場することなく高校生活を終えた。今は何をしているのだろうかとふと思う。

そんな真夏のある一日。




【2011/08/22 08:53 】 | つれづれ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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